公開日 2016年03月23日

 生物資源科学部では,2月19日(金)に「安来市における地元地域活性化を担う人材(アクチベーター)育成のための談話会を開催しました。この企画は,大学・企業・自治体を交え,地元地域活性化のための問題点を明らかにし,その解決策を探ることによって山陰地域で求められる人材育成につなげるというもので,本学部では2年前から開催しています。今回は,島根県東部の「安来市」において,現地を訪問し,地域の活動・現状等を聞き,学生が意見を述べるという形で開催し,島根大学からは大学生20名(生物資源科学部15名,総合理工学部2名,法文学部2名,生物資源科学研究科1名),大学教員5名が参加しました。

【今回の目的について】
 島根大学の学生が安来市を知り(再発見)その課題に学生として取り組むとともに,地元住民(企業や農家等も含む)の方や島根大学も参加することにより安来市の活性化につなげていくことを目的とし,安来市を訪問しました。

 【安来市農業振興関係者との談話会】
 まずは島根大学からバスで約1時間のところにある安来市広瀬町の比田地区を訪問し,安来市定住企画課および農林振興課の職員の方より「安来市の人口ビジョン」や「比田地区の農業の現状」等について説明いただきました。その後は無農薬・無化学肥料栽培により有機農業を実践し,ほうれん草や小松菜,ミニトマト,玉ねぎ,きゅうり等十数種類の野菜を作っておられる「かみさこ農園」にお邪魔し,畑やビニールハウスなどを見学させていただきました。学生からは,「人口減少について今後を担う者として真剣に考えなければならない。」「農業にはビジョンがないと成り立たないことがよく分かった。」「農業をやりたい人々に対して十分な教育や支援ができる体制をつくることが大切であると感じた。」といった意見が挙がりました。

20160219安来市農業関係者 

【安来市地元特産物関係者との談話会】
 その後は,旧西比田小学校の校舎を利用し,地元で栽培された農産物を使った惣菜や「比田米」を使用した加工食品の製造・販売をして,安来市に留まらず全国的に活躍中の比田いきいき加工部を訪問しました。6月には笹巻き(ちまき)づくりのピークとなり,一つ一つ手作りで何万個のちまきを全国に発送しておられるとのことでした。「少子高齢化により廃校が増えてきている中で,そういった施設を再利用し地域活性化のための活動を行うことは全国的に広めていくべき。」「地元地域の味を継承することに貢献したい。」など積極的な意見が挙がりました。談話会の後には,加工部の皆さんがこの日のために地元食材を使った“カレーライス”や“煮しめ”などを準備してくださり,大変おいしくいただきました。

20160219安来市特産物関係者  

【実践発表研修会】

 その後は広瀬中央交流センターに会場を移し,安来市地域振興課主催の実践発表研修会に参加させていただきました。実践発表研修会とは,地域づくりの拠点である「交流センター」が地域の方とともに地域の課題を掘り下げ,その解決に向けた学習・実践活動を通じて特色のある地域を創造していく「がんばる地域おこし支援事業」です。5箇所の交流センターの活動発表を聞かせていただき,島根大学からも積極的に意見や質問が挙がりました。
20160219安来市講演風景 

【安来市産業振興関係者との談話会】

 産業振興関係者との談話会では,まず安来商工会議所の産業振興アドバイザーの方から,「たたら製鉄」の歴史や安来市の特殊鋼産業,航空機事業「SUSANOO」について詳しくご説明いただき,学生も貴重なお話に熱心に耳を傾けていました。
 その後は,キグチテクニクスと守谷刃物研究所の2班に分かれ,それぞれ工場内の見学をさせていただきました。キグチテクニクスは,自動車,エネルギー,航空宇宙等様々な分野において試験素材の切出し,熱処理,試験片の加工,試験評価まで一気通貫体制によりものづくり企業を支えておられる会社です。一方,守谷刃物研究所は,小ロットから量産まで迅速に対応する体制の中で,高級特殊鋼ヤスキハガネの特性を最大限に生かし,多岐にわたる分野の製品を製造しておられる会社です。学生からは,「コストがかかるものは本当に価値があるのかきちんと調べて判断することが大事だと感じた。」「生産性を高めるために複数の設備を一人で扱ったり,業務改善のためフィードバックできる環境を作っていたりと小さな努力を積み重ねていく姿勢に感動した。」などといった意見があり,なかなか入ることのできない貴重な現場を見せていただき大変勉強になったようです。
20160219安来市コーディネーター  

 今回ご参加いただいた皆様からは,「安来市の取組を知ってもらう良い機会だった。」「今後も継続的に交流し,成果のあるものを共同で生み出せると良い。」など大変熱心なご意見をいただきました。また学生は地域の方の生の声に触れ,たくさんの人の意見,考え,思いを知ることが出来,又とない大変有意義な時間になったようです。本談話会を通じ,今後も安来市の方々と連携して,安来市の地域活性化に貢献できれば幸いに存じます。

お問い合わせ

生物資源科学部
TEL:0852-32-6493