環境共生科学科 吉岡秀和 助教が,「斐伊川のアユと環境」に関する研究の途中成果を斐伊川漁業協同組合に報告しました

2019年11月26日

 島根県は,山陰地方で最も「清流の女王」アユの漁獲がある県です。県内では高津川や江の川がアユで有名ですが,より島根大学から近くにある斐伊川にも実はアユがいます。皆さんはご存じでしたか?
 しかしながら,斐伊川のアユの実態は,学術的には最近までよくわかっていませんでした。例えば,どれぐらいの大きさのアユがいるのか,アユは季節的にどう成長するのか,という基本的な科学的知見が見当たりませんでした。このような知見なくして,斐伊川のアユのこれまで,いま,そしてこれからを考えることはできません。
 環境共生科学科の吉岡秀和助教(本学水圏エコシステムプロジェクトセンター兼任)は,2014年度より斐伊川のアユと環境に関する研究を,斐伊川漁業協同組合との産学連携体制で進めています。この研究は,本学生物資源科学部にとどまらず他大学,そして経済学を含む異分野の研究者との共同研究であり,数理科学の見地から斐伊川のアユに切り込むものです。例えば,写真1や図1は,2019年度の斐伊川漁協主催のアユ投網大会において得られた独自のデータと解析結果の一例です。得られたデータと数理モデル(様々な方程式や不等式)を組み合わせることで,斐伊川のアユに関する詳細な検討を行うことが可能になります。また,この研究では数理モデル自体に関する数学的な研究も行われています。また,ダム下流での繁茂が問題視されているカワシオグサの育成実験や剥離実験にも取り組んでおり,河の流れとカワシオグサの関係性に関する知見を着実に増やしています。
 
このたび,2019年11月20日に短報として,吉岡秀和助教が斐伊川漁協に下記の研究成果を提出しました。このことは,斐伊川漁協HPでも紹介されています (https://www.hiikawafish.jp/)。

吉岡 秀和, 吉岡 有美(本大学 環境共生科学科), 濱上 邦彦(岩手大学), 辻村 元男(同志社大学), 八重樫 優太(京都大学): 斐伊川のアユや環境に関する研究報告~2019年秋~.2pp.

2020年春に,より詳細な報告書が発刊予定です。今後も,斐伊川のアユに関する数理科学に依拠した研究が継続される予定です。


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写真1:投網大会で撮影された斐伊川のアユ。様々な大きさのアユが確認されています(吉岡秀和助教が撮影)。写真にはアユ以外の魚も写っています。


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図1:2019年度投網大会でのアユの体重分布の実測 (白) と理論 (黒)。縦軸は匹数,横軸の“10”などは10 (g) 台などを意味します。データを用いてアユの成長を理論的に考えることで,実際のアユの成長は一体どうであったか,という理論構築やシミュレーションが可能となります。また,データ自体も斐伊川のアユの実態を示す,貴重な知見です。

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