公開日 2024年04月04日

生物資源科学部卒業生の垣内仁さんが日本作物学会学会賞を受賞しました


SDGs

第257回日本作物学会講演会(三重大学)において、生物資源科学部の前身である島根大学農学部を1999年(平成11年)に卒業し、島根大学大学院農学研究科を2001年(平成13年)に修了した垣内仁さん(現東京農業大学准教授)が第68回日本作物学会学会賞を受賞しました。受賞タイトルは「限定要因モデルを用いたダイズの子実生産、窒素同化およびリン酸吸収律速要因の解析」です。

タンパク質および油料資源作物としてダイズは世界的に需要が増えており、さらに日本におけるダイズの平均収量は世界の半分程度であるためにその収量増加が強く求められています。しかしダイズは、葉などの形成からなる栄養成長と収量を決定する開花と結実からなる生殖成長が重複並行して起こり、さらに窒素固定する根粒菌との共生によって窒素施肥効果が単純に発現しないなど、イネなどの他作物に比較して栽培管理が増収に結びつきにくいという特性があります。垣内さんはこのようなダイズの子実生産に深く関与する物質生産、窒素とリン酸の同化吸収の律速要因をBlackmanの限定要因法則の視点から解析し、以下のような成果を上げました。1つ目は植物体生産と子実生産量との関係を明らかにしたことです。次に施肥窒素量と窒素量の関係を明らかにしました。このことから窒素施肥増加によっても窒素固定が低下しにくく、最大窒素増加能力が高い品種特性が増収に必要であることを明らかにしました。3番目にリン酸肥料とリン酸吸収量との関係を明らかにしました。この結果、リン酸吸収による収量増加は窒素増加を介して起きたとみなされました。このような業績から垣内さんはダイズの子実生産に強く影響を与える窒素同化およびリン酸吸収の律速要因をBlackmanの限定要因法則の視点から定量的かつ統一的に明らかにしました。この業績は、大豆の子実生産向上に有効な物質生産パターンの解明、施肥による適切な養分管理、収量予測モデルなどへの今後の貢献が期待されています。

 

お問い合わせ

生物資源科学部
TEL:0852-32-6493