公開日 2020年03月19日

 2020年3月11日に,吉岡秀和助教が,自身をはじめとする「斐伊川のアユと環境」に関する異分野融合研究チームによる研究報告書を斐伊川漁業協同組合に提出しました。この研究は2015年から斐伊川漁協の協力のもと継続されており,数理科学,経済学,水理学,水文学,環境動態学など,文理の垣根を越えた,複数大学に跨がる研究者によって展開されています。
 報告書では,斐伊川の水理・水文・水質,斐伊川におけるアユの成長,斐伊川周辺を含む我が国の様々な地域における水鳥カワウの動態,ダム下流に繁茂する糸状藻類カワシオグサの剥離に関する実験と斐伊川への応用,河川の環境や生物を管理していくための数理最適化理論など,多岐にわたるデータや解析結果が報告されています。
 以下はその一例で,ダム下流に繁茂するカワシオグサを効率的に剥離させるための土砂粒径(d:単位はm.土砂の大きさの目安だとお考え下さい)と流量の関係式で,既往の研究成果とこの研究グループによる地道な実験成果を合わせて初めて得られたものです。
 他にも,数理的な基礎理論から上述のような実験・観測にいたる,多様な研究成果がまとめられています。また,ごく近年尾原ダム上流での吉岡秀和助教らによる調査で確認された,尾原ダム湖で冬を過ごしたとされる特殊なアユ,に関する調査・解析結果もまとめられています。
 2020年度前半を目処に,この報告書に加筆修正を加えた本(ISBN申請準備中)が出版予定です。今後も,斐伊川のアユに関する本研究グループの研究は継続されます。

※ 研究グループのメンバー:報告書の執筆陣(所属は2020年3月時点)
吉岡 秀和(よしおか ひでかず)
島根大学学術研究院環境システム科学系 助教(同大学 水圏エコシステムプロジェクトセンター兼任)

吉岡 有美(よしおか ゆみ)
島根大学学術研究院環境システム科学系 助教

濱上 邦彦(はまがみ くにひこ)
岩手大学農学部食料生産環境学科 准教授

辻村 元男(つじむら もとお)
同志社大学商学部 教授

八重樫 優太(やえがし ゆうた)
京都大学大学院農学研究科 博士課程在学


図:カワシオグサを95%剥離するのに必要な砂礫投入量
 

 


報告書の表紙

 

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