公開日 2021年09月27日

生物資源科学部EMSニュース2021年9月号

◎始まります、食品ロス・ゼロプロジェクト!
 近年、世界的に急速に食品ロスに焦点が当てられるようになってきました。先進国を中心に世界で廃棄される食品の量が年間13億トンに達する一方で、世界の9人に1人が深刻な栄養不足にさらされているという現状にあります。2050年には世界の人口は97億人に達するとみられており、この食品ロス対策を行わなければ、世界の貧困に拍車がかかることは必定と言えます。日本では年間612万トンの食品ロスが発生していますが、日本の食料自給率はカロリーベースで40%程度であり、世界中から食料を輸入し、ユネスコの食糧支援の1.5~2倍に匹敵する量を廃棄している実態があります。そのため、我が国ではこの問題を極めて深刻に受け止めなければならないと言えます。供給側の企業での近年の食品ロスの対策では効率的な在庫管理などが中心的に取り組まれています。一方で、需要者側でも食品廃棄を減らす取り組みなどが行われていますが、調理残渣や食べ残し(食品廃棄物)は一定量発生することは避けられないことです。現状では、この多くが焼却処理されている実態があり、世界中から輸入した食品とは実は世界中で使われた肥料成分(資源)を大気中に放出していることになります。
 島根大学生協食堂でも年間約10トンの食品廃棄物が発生しており、このすべてが焼却処理されています。これは島根大学だけではなく、すべての日本の大学で同様の実態となっています。一方で、廃棄される食品廃棄物は実は肥料成分でもあり、これを肥料化して有効活用することは食品ロスを削減する極めて有効な手段と言えます。しかしながら、全国の大学でこれを組織的に取り組んでいる事例は皆無でした。そこで、日本ミクニヤ株式会社と共同で開発した高温好気発酵分解装置を活用して生協食堂から排出される調理残渣や食べ残しなどの食品廃棄物を肥料化する『島根大学食品ロス・ゼロ宣言プロジェクト』を今年度の戦略的機能推進経費に応募したところ、採択されました。
 現在、高温好気発酵分解処理装置を設置する工事を行っており、10月半ばの稼働を目指して準備を進めています。この取り組みは地域社会からの期待も大きく、山陰放送を通じて報道されました。本プロジェクトが島根大学のSGDsの取り組みの旗手として発展することを期待しています。

《上記に関連する情報につきましては、以下のURLよりご確認いただけます》
○高温好気発酵分解装置
https://www.mikuniya.jp/solution/solution_mx.html

○「みっけ山陰SDGs」 etime 山陰放送(BSS)
https://youtu.be/GY7kWRbKgEA

 

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